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相続税が払えるか確認──納税資金5つの出どころ

公開 2026.08.04 / 更新 2026.08.07 相続対策 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)

相続税でつまずくのは、税額の大きさより払い方です。相続税は、亡くなってから10か月以内に、現金でまとめて納めるのが原則です(相続税法27条・33条)。

財産の大半が土地と建物という家庭では、「財産はあるのに、払う現金がない」が普通に起きます。だから対策は、税額の目安を出して、払うお金の出どころを生前に決めておくことです。

※本記事の人物・金額はすべて架空のモデル事例です。一般的な仕組みを解説するもので、個別の税務・法務相談ではありません。

→ 全体の流れは 相続対策の全体像。この記事は章4「相続税が払えるか確認」の解説です。

この記事でわかること


1. 原則は「10か月以内・現金一括」

相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月です。納付は現金一括が原則で、分け方の話し合いがまとまらなくても、期限は延びません。

10か月は長いようで短い期間です。葬儀、戸籍集め、財産調査、分け方の話し合いを終えたうえで、納税資金まで用意する必要があります。→ 期限の全体は 実際に相続が起きたら(章7)

2. まず、いくら払うかの目安を出す

出どころを考える前に、払う額の目安が要ります。手順は2段階です。

  1. 財産の合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるか確かめる
  2. 超えるなら、超えた分に速算表を当てて概算する

この計算は別の記事で手順にしています。→ うちは相続税がかかる?まず「3,000万+600万×人数」で確かめる

3. 出どころは5つ。順に確かめる

納税資金の出どころは、実務ではこの順に見ていきます。

出どころ 注意
1 手元の現金・預貯金 まず、これで足りるかを数える
2 生命保険金 500万円×法定相続人の数まで相続税がかからない(相続税法12条)
3 財産を売って現金にする 10か月に間に合うか。売った利益に譲渡所得税がかかる。相続税の一部を取得費に足せる特例(租税特別措置法39条。申告期限から3年以内の売却)はある
4 税務署に分割払いを認めてもらう(延納) 担保を入れ、利息(利子税)を払う(相続税法38条)
5 不動産などの現物で納める(物納) 条件が厳しく、納める財産の順位も決まっている。最後の手段(相続税法41条)

4と5は「税務署にお願いして、認めてもらう」制度です。申請すれば通るものではなく、延納でも払えないと認められて初めて物納、という順番です。生前の対策とは、1〜3で完結する形をつくっておくことだといえます。

4. 口座は凍結される

見落としがちなのが、亡くなった人の口座は銀行が凍結することです。残高がいくらあっても、遺産分割が終わるまで自由には引き出せません。

凍結中でも、相続人1人で引き出せる仮払い制度はあります(民法909条の2)。ただし上限は「預貯金×3分の1×その人の法定相続分」かつ1つの金融機関につき150万円までです。葬儀費用には足りても、納税には足りません。→ 親の口座は死亡で止まる──凍結中に引き出せる「仮払い」の上限と手順

5. 生命保険が2番目に来る理由

出どころの2番目に生命保険を置くのには、理由が3つあります。

「納税資金の不足分を、保険金の額で埋めておく」のが、不動産オーナーの納税資金対策の基本形です。→ 生命保険は相続対策の一手──500万円×法定相続人の非課税枠を使う

まとめ

→ 次に読む:相続税に対策する──節税3つの方法と、やりすぎの線(章5)


出典

※確認日:2026年8月4日。延納・物納の可否判断と申請は要件が細かいため、期限より十分前に税理士へご相談ください。

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宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

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