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相続税に対策する──節税3つの方法と、やりすぎの線

公開 2026.08.04 / 更新 2026.08.07 相続対策 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)

分け方(章3)と納税資金(章4)の目処が立ったら、3つ目の対策が節税です。相続税の節税は、方法がどれだけ多く見えても「財産を減らす」「評価額を下げる」「非課税枠を使う」の3方向に整理できます。

そして、どの方向にも「やりすぎると認められない」という線があります。この記事では、3方向の中身と、その線まで整理します。

※本記事の人物・金額はすべて架空のモデル事例です。一般的な仕組みを解説するもので、個別の税務・法務相談ではありません。

→ 全体の流れは 相続対策の全体像。この記事は章5「相続税に対策する」の解説です。

この記事でわかること


1. 節税は3方向

方向 中身 代表的な方法
財産を減らす 課税される財産そのものを生前に渡す 生前贈与
評価額を下げる 税金計算のもとになる金額(評価額)を下げる 小規模宅地等の特例、賃貸物件の評価、法人化
非課税枠を使う 課税されない枠に財産を移す 生命保険の非課税枠

相続税は、財産の評価額の合計が基礎控除を超えた分にかかります。だから節税は、この足し算のどこかを小さくする話に必ず行き着きます。

2. 財産を減らす──生前贈与

年110万円までの贈与には贈与税がかかりません(暦年課税の基礎控除)。時間をかけて渡すほど効く、いちばん確実な方法です。ただし、いまのルールで2つ押さえます。

注意したいのが「あげたつもり」の贈与です。子ども名義の口座に親が入金していただけでは、贈与と認められず相続財産に戻されます(名義預金)。→ 毎年110万円の贈与が、全額なかったことにされる家──名義預金にしない5つの作法

3. 評価額を下げる

相続税の計算では、財産は時価そのものではなく、決められた方法で評価します。ここに差が生まれます。

2つ注意があります。第1に、特例は申告して初めて使えます。特例で税額が0円になる場合でも、申告は必要です。第2に、賃貸不動産を買って評価を下げる対策は、2027年から適用のルールが変わります。→ 賃貸不動産の「5年ルール」──2027年から、買って相続税評価を下げる対策が変わる

4. 非課税枠を使う

生命保険の死亡保険金には、500万円×法定相続人の数の非課税枠があります(相続税法12条)。現金1,500万円を口座に置いたまま相続すると全額が課税対象ですが、保険金で受け取る形にすれば(法定相続人3人なら)全額が枠内です。納税資金対策(章4)を兼ねられるのも利点です。→ 生命保険は相続対策の一手

5. やりすぎの線

節税には、税務署と裁判所が引いてきた線があります。

共通するのは、「節税の効果しかない行為」は否認されやすいということです。賃貸経営として成り立つ物件を持つ、実際に使ってもらう贈与をする。実態のある対策だけが残ります。

まとめ

→ 次に読む:2回目の相続も考える──配偶者に残す額で合計税額が変わる(章6)


出典

※確認日:2026年8月4日。個別の物件・家族構成での効果と否認リスクの判断は、実行前に税理士へご相談ください。

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記事を読んでも判断に迷うときは、
個別にご相談いただけます。
宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

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