ここからは、相続が起きたあとの話です。やることは多くありますが、動く順番は期限で決まっています。
急ぐ順に、7日、3か月、4か月、10か月、3年です。全体が見えるまで財産に手をつけないことが、いちばん大事です。理由は4章で説明します。
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1. 動く順番は、期限で決まっている
相続が起きたあとの期限
期限は、亡くなったことを知った日から数えます。登記だけは、不動産を取得したと知った日からです。
手続きの全体は「相続手続きの全体像」(STEP 0〜9)にまとめています。この記事は、期限のあるものを順に押さえます。
2. 最初の2週間は、届出をして、口座の凍結に備える
まず、届出をする

7日以内に死亡届を出し、年金と保険の届出もします
やり方死亡届は、7日以内に市区町村へ出します(戸籍法86条)。葬儀社が代わりに出すことが多い手続きです。
やり方年金、健康保険、介護保険は、受給の停止と資格喪失の届出をします。公共料金は、名義変更か解約です。
口座は、凍結される

銀行が知ると、口座は止まります
問題残高があっても、分け方が決まるまで自由には引き出せません。
解決相続人1人で引き出せる仮払いの制度があります(民法909条の2。1つの銀行につき150万円まで)。葬儀の費用は、ここでまかなえることが多いです。
くわしくは「口座が止まっても、150万円までは引き出せる」で説明しています。
3. 遺言書を探す。見つけても、勝手に開けない
分け方の前提になるので、早い段階で遺言書があるかを確かめます。
公正証書遺言なら、公証役場で見つかる

公証役場で探せます
やり方最寄りの公証役場で検索できます(遺言検索)。
解決見つかれば、原則としてその内容で進みます。
自筆証書遺言は、まず保管先を確かめる

法務局か自宅にあり、自宅で見つけたら開けません
やり方法務局の保管制度を使っていれば、法務局に照会します。
注意自宅で見つけた場合は、開封せずに家庭裁判所の検認を受けます(民法1004条)。
遺言書がなければ、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めます。
4. 3か月以内に放棄を決め、4か月以内に所得税を申告する
3か月以内に、相続放棄を決める

全体が見えるまで、財産に手をつけません
やり方借金のほうが多いなどの場合は、家庭裁判所に申し立てて放棄できます。期限は、相続を知った日から3か月です(民法915条)。
注意財産を売ったり使ったりすると、相続を受け入れたとみなされ、放棄できなくなります(民法921条)。全体が見えてから、形見分けの範囲を超えて手をつけます。
4か月以内に、準確定申告をする

亡くなった人のその年の所得税を、相続人が代わりに申告します
やり方期限は、相続を知った日の翌日から4か月です(所得税法124条・125条)。
注意アパートがあれば、家賃収入の申告があります。青色申告を引き継ぐ届出にも、期限があります。
くわしくは「相続放棄は3か月以内。財産に手をつけると、できなくなる」「亡くなった人の所得税は、相続人が4か月以内に申告する」で説明しています。
5. 10か月以内に相続税を納め、3年以内に登記をする
10か月以内に、相続税を申告して納める

話し合いがまとまらなくても、期限は延びません
やり方10か月までに、財産の評価、分け方の確定、申告書、納税のお金の用意まで終わらせます(相続税法27条・33条)。
解決分け方が決まらないときは、法定相続分で分けたと仮定して、いったん申告と納税をします。「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておくと、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を、分け方が決まったあとから使い直せます。
3年以内に、相続登記をする

2024年4月から義務になり、放置すると過料の対象になります
やり方相続した不動産の名義変更は、取得を知った日から3年以内に申請します(不動産登記法76条の2)。
注意申請しないと、10万円以下の過料の対象です(同164条)。
くわしくは「相続した不動産の名義変更は、3年以内が義務」で説明しています。相続した不動産を売るところまで進むなら、「不動産売却の全体像」に続きます。売るときに相続税の一部を取得費に足せる特例(租税特別措置法39条)は、申告期限から3年以内の売却が条件です。
まとめ
- 順番は期限で決まり、7日、3か月、4か月、10か月、3年と続く
- 全体が見えるまで、財産を売ったり使ったりしない(放棄できなくなる)
- 遺言書は早めに探し、自筆の遺言は開封せず検認へ回す
- 話し合いがまとまらなくても、10か月でいったん申告する
- 相続登記は3年以内に行い、放置すると過料の対象になる
まず、今日できること
- 亡くなった日を起点に、3か月、4か月、10か月、3年の日付をカレンダーに書く
- 遺言書があるか、公証役場と法務局に照会する
- 借入金があるか、額はいくらかを、通帳と郵便物で確かめる(放棄の判断のため)
出典
- 戸籍法86条(死亡届)
- 民法909条の2(預貯金の仮払い)、915条(相続放棄の熟慮期間)、921条(法定単純承認)、1004条(検認)
- 所得税法124条・125条(準確定申告)
- 相続税法27条・33条(申告・納付の期限)
- 租税特別措置法69条の4(小規模宅地等の特例)、39条(取得費加算)
- 不動産登記法76条の2・164条(相続登記の申請義務・過料)
※確認日:2026年9月2日。本記事は一般的な仕組みを説明するもので、個別の税務・法務相談ではありません。相続放棄・検認・遺産分割の争いは、弁護士・司法書士の領域です。期限が近い場合は、まず期限のある手続きから専門家へご相談ください。
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この記事は 相続手続き STEP 2「遺言書を探す」 でも紹介しています。
全10STEPの全体像を見る「相続対策」の入口は2つあります
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