空室は「収入ゼロ」ではなく「借金」と同じ。大家さんがやるべき空室対策の全知識

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賃貸経営において、一番怖いリスクである「空室」。 多くの大家さんが「家賃が入らない期間」と考えていますが、その認識だと少し甘いかもしれません。

空室というのは、単に収入がゼロになるだけでなく、「マイナスのお金(負債)を生み続ける緊急事態」です。

今回は、現役の不動産オーナーであり税理士でもある立場から、空室リスクの本当の恐ろしさと、それを回避するために大家さん自身が明日からできる「具体的な対策」を、難しい言葉を使わずにすべて解説します。


1. 空室リスクの「本当の恐ろしさ」を知る

まず、なぜ空室を1日でも早く埋めなければならないのか。そのダメージを正しく理解しましょう。

  • 手元のお金がどんどん減る 家賃収入が止まっても、管理費や修繕のためのお金、固定資産税などの「必ずかかる費用」は止まりません。つまり、空室の期間はずっと「赤字」の状態です。
  • ローンの返済が自分のお財布からになる 借金をして物件を買っている場合、家賃が入らないと、自分の貯金から返済することになります。これが続くと資金繰りが行き詰まり、最悪の場合、破綻してしまいます。
  • 建物がボロボロになる 「人が住んでいない家は傷む」と言われる通り、換気がされないことによるカビの発生や、水道管の悪臭、虫の侵入など、建物の劣化が早まります。
  • 「人気のない物件」というレッテルを貼られる 入居者募集の期間が長引くと、不動産屋さんやネット上で「ずっと売れ残っている物件」「何か問題があるのでは?」と思われてしまい、さらに決まりにくくなる悪循環に陥ります。

2. 【戦略編】空室対策の3つのステップ

対策は「空いてから」ではなく、「空く前」から始まっています。

ステップ1:退去を防ぐ(今の人に長く住んでもらう)

一番コストがかからないのは「今の入居者様に長く住んでもらうこと」です。

  • クレームにはすぐ対応する: エアコン故障などのトラブルにすぐ対応すると信頼され、「この大家さんなら安心」と長く住んでもらえます。
  • 更新時の条件交渉: 良い入居者様には、更新料を安くしたり、エアコンクリーニングをプレゼントするなどして、「引っ越すよりもお得」と感じてもらいます。

ステップ2:募集活動(お部屋探しのお客様を集める)

  • 家賃を「相場」に合わせる: 過去の成功体験や「ローンの返済があるから」という理由で家賃を決めず、近隣のライバル物件がいくらで決まっているかを調べて、「選ばれる家賃」に設定します。
  • 不動産屋さんへの営業: 管理会社任せにせず、大家さん自身が駅前の不動産屋さんへ挨拶に行き、物件を紹介してもらいます。
  • 写真の質にこだわる: ネット(SUUMOなど)でクリックされるかは「写真」で決まります。部屋を広く見せるレンズで明るく撮ったり、家具を置いて生活感を出すことが必須です。

ステップ3:物件の魅力アップ(リフォームなど)

  • ターゲットを絞ったリフォーム: 壁紙の一面だけ色を変える(アクセントクロス)、モニター付きインターホンにする、無料Wi-Fiを入れるなど、効果の高い設備投資を行います。
  • 契約時の初期費用を下げる: 敷金・礼金をゼロにしたり、最初の1〜2ヶ月の家賃を無料(フリーレント)にすることで、月々の家賃は下げずに、入居のハードルだけを下げます。

3. 【実践編】大家さんが「現場」でやるべき作業リスト

ここからは、大家さんが自ら動いて実行すべき具体的な作業です。これをやるかやらないかで、決まりやすさは劇的に変わります。

① 物件現地でやること(第一印象を良くする)

  • 共用部の徹底掃除: 特に「ポスト」と「ゴミ置き場」です。ここが汚いと、部屋を見る前にお客様は帰ってしまいます。
  • 排水口の臭い対策と換気: キッチン、お風呂、トイレ等の排水口に水を流し、下水の臭いが上がってくるのを防ぎます。下水臭い部屋は絶対に決まりません。
  • スリッパとおもてなしの準備: 100円ショップのものではなく、少し良いスリッパを用意し、「ようこそ」というメッセージカードや、近所のスーパーなどの情報を置きます。
  • 全室に照明をつけておく: 暗い部屋は印象が悪いです。安い照明で良いので全室につけ、内見の時はブレーカーを上げて電気を点けておきます。
  • モデルルームのように飾り付ける: ラグや小物、造花の観葉植物などを置き、「生活しているイメージ」が湧くように演出します。
  • 現地に鍵を置いておく: 不動産屋さんが鍵を取りに行く手間を省くため、現地にキーボックスを設置して、案内してくれる回数を増やします。

② 営業活動でやること(不動産屋さんを味方につける)

  • 不動産屋さんへの挨拶回り: 最寄り駅のお店に、物件の図面とお菓子を持って挨拶に行きます。「協力的な大家さんだ」と安心してもらい、優先的にお客様に紹介してもらいます。
  • 「広告料(ボーナス)」の活用: ライバル物件が不動産屋さんに払っている紹介料(広告料/AD)の相場を確認し、必要なら少し多めに出したり、商品券などの特典をつけることを伝えます。
  • 募集図面(チラシ)を自分で作る: 管理会社が作った図面が魅力的でなければ、自分でアピールポイントをしっかり書いた図面を作り直します。
  • ネット掲載の毎日チェック: SUUMOなどに自分の物件が載っているか、写真は綺麗か、情報に間違いがないかを毎日監視します。

③ 条件設定でやること(入居のハードルを下げる)

  • 家賃無料期間(フリーレント)をつける: 最初の1〜2ヶ月を無料にし、入居者様の初期費用を減らしつつ、月々の家賃は下げないようにします。
  • 初期費用の分割・カード払い対応: 最初にかかるお金が理由で諦める人を減らします。
  • 入居できる人の幅を広げる: 「ペット可」「外国人可」「高齢者可」「楽器相談」「DIY可」など、ライバルが嫌がる条件を受け入れることで、入居希望者を一気に増やします。
  • 無料インターネットの導入: 今や「付いていて当たり前」の設備です。まだなら最優先で検討しましょう。

4. 税理士・経営者としての視点(お金の計算)

経営者として、数字の面からも対策を打ちます。

  • 空室期間中の経費計上: 入居者募集をしている限り、固定資産税や建物の減価償却費、ローンの利息は「経費」にできます。
  • 活動費を経費にする: 部屋の飾り付け費用、不動産屋さんへの手土産、交通費、リフォーム代など、対策にかかった費用の領収書は必ず保管し、経費にします。
  • 損得の計算(機会損失): 「家賃を3,000円下げるのを渋って3ヶ月空室が続く」のと、「3,000円下げて明日決まる」のと、どちらが年間で手元に残るお金が多いか、冷静に計算して判断します。

まとめ:大家業は「サービス業」です

空室対策で一番大切なのは、「入居者様=お客様」という意識を持つことです。

「貸してやっている」という殿様商売の時代は終わりました。「数ある物件の中から選んでいただく」という意識を持ち、市場とお客様のニーズに合った商品(物件)とサービスを提供し続けること。

これこそが、最強の空室対策となります。まずは今すぐ、ネット掲載のチェックと、現地の掃除から始めてみてください。

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