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相続税対策の全手法を網羅!生前贈与から不動産活用まで徹底解説

公開 2026.01.21 / 更新 2026.07.31 相続対策 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)

「相続税対策、何から手をつければいいのか分からない」「ネットで調べても、制度が複雑で自分に合うものが判断できない」

そう感じていませんか?

相続税対策は、時間が経てば経つほど選択肢が狭まります。逆に言えば、正しい知識を持って早めに行動すれば、合法的に大きな節税効果を得ながら、大切な資産を確実に次世代へ残すことが可能です。

私は税理士として不動産オーナー様の相続案件を数多く手がけてきましたが、「もう少し早く相談してくれれば…」と悔やむケースが後を絶ちません。5年前に始めていれば数百万円の差が出ていた、というのは珍しい話ではないのです。

今回は、相続税対策として検討すべきあらゆる手法を網羅的に解説します。情報量は多いですが、ご自身の状況に合うものをピックアップする「索引」としてお使いください。


相続税対策の「3つの柱」を理解する

具体的な手法に入る前に、大原則をお伝えします。相続税対策は大きく分けて以下の3つのアプローチしかありません。

考え方代表的な手法
① 財産を減らす課税対象の財産自体を減少させる生前贈与・教育資金贈与
② 評価を下げる財産の税務上の評価額を圧縮する不動産活用・小規模宅地特例
③ 非課税枠を増やす控除額や非課税枠を最大限活用する生命保険・養子縁組

これら3つをバランスよく組み合わせることが成功の鍵です。それでは具体的に見ていきましょう。


第1の柱:財産そのものを減らす「生前贈与」

将来の相続財産(主に現金・有価証券)を、生前のうちに子や孫へ移転させる方法です。令和6年度の税制改正によりルールが大きく変わっていますので、最新情報を押さえておいてください。

① 暦年贈与(年間110万円の非課税枠)

最もポピュラーな贈与方法です。1人あたり年間110万円までなら贈与税がかかりません。

⚠️ 注意

【重要改正】令和6年1月1日以降の贈与から、相続発生時にさかのぼって「過去7年間」の暦年贈与が相続財産に持ち戻し(加算)されるルールに変更されました(従来は3年間)。つまり、亡くなる直前の7年間の贈与は節税効果がなくなります。駆け込み贈与が通用しなくなったため、今すぐ始めることが最大のポイントです。

② 相続時精算課税制度(新ルールで大幅改善)

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税が非課税になる制度です(相続時に精算)。

💡 ポイント

【令和6年以降の大改正】この制度にも年間110万円の基礎控除が新設されました。この110万円分は相続時に持ち戻す必要がありません(完全に非課税で移転できます)。しかも暦年贈与のような「7年間持ち戻し」ルールの適用外です。「暦年贈与」よりこちらが有利になるケースが増えており、制度の選択は慎重に検討する必要があります。

比較項目暦年贈与相続時精算課税
年間非課税枠110万円110万円(新設)+2,500万円枠
相続時の持ち戻し過去7年分が加算110万円以下は持ち戻し不要
贈与者の年齢要件なし60歳以上
一度に大きな贈与110万円超は贈与税発生2,500万円まで無税(相続時精算)
制度変更リスクあり(さらなる厳格化の可能性)選択すると暦年贈与に戻れない

③ 目的別の「一括贈与」特例

使用目的を限定することで、まとまった金額を一度に非課税で贈与できる制度群です。

特例名非課税限度額受贈者の年齢注意点
教育資金一括贈与最大1,500万円30歳未満使い残しには贈与税課税。適用期限あり
結婚・子育て資金贈与最大1,000万円18〜50歳未満使い残しには贈与税課税
住宅取得等資金贈与省エネ住宅1,000万円/その他500万円18歳以上年度により要件変動あり

⚠️ 注意

教育資金・結婚子育て資金の一括贈与は「期限付き」の制度です。延長されるかどうかは毎年の税制改正で決まります。活用を検討されている方は、早めに税理士に相談してください。また、使い残した金額には贈与税が課税されるため、必要な金額を精緻に見積もることが重要です。


第2の柱:財産の「評価」を下げる(不動産・特例活用)

現金は「1億円=評価額1億円」ですが、不動産に変えることで相続税上の評価額を大幅に圧縮できます。不動産オーナーにとっては最も得意とする領域のはずです。

① 小規模宅地等の特例(最大80%減額)

相続税対策において最強の節税特例です。亡くなった方が住んでいた土地や事業用の土地について、一定の要件を満たせば評価額を最大80%減額できます。

区分限度面積減額割合主な要件
特定居住用宅地等330平米80%配偶者、同居親族、家なき子
特定事業用宅地等400平米80%事業を承継する親族
貸付事業用宅地等200平米50%賃貸事業を承継する親族

💡 ポイント

「家なき子特例」は特に重要です。被相続人と同居していなくても、「相続開始前3年以内に、自己・配偶者・3親等内の親族・特別の関係がある法人が所有する家に住んだことがない」「相続開始時に住んでいる家を過去に所有したことがない」等の要件をすべて満たせば80%減額の適用が可能です(2018年4月の改正で要件が厳格化されています)。ただし要件は複雑なので、早い段階で税理士に適用可能性を確認しておきましょう。

② 現金を不動産に換える(賃貸物件の建築・購入)

相続税の「評価減」を最大限活用する王道の手法です。

⚠️ 注意(令和8年度税制改正)

この手法には大きな制度変更が予定されています。令和9年(2027年)1月1日以後の相続から、亡くなる前5年以内に取得・新築した貸付用不動産は時価ベース(簡便法は取得価額を基にした額の80%)で評価する見直しが令和8年度税制改正大綱で示されました(いわゆる「5年ルール」)。「買って評価を下げる」対策は、取得から5年間は効かなくなります。詳しくは賃貸不動産の「5年ルール」をご覧ください。

③ タワーマンション等の購入(要注意)

いわゆる「タワマン節税」です。市場価格と相続税評価額の乖離を利用する手法ですが、現在はリスクが高まっています。

⚠️ 注意

2024年1月からマンションの相続税評価方法が見直され、市場価格の6割を下回らない水準に補正されるルールが導入されました。また、相続直前のタワマン購入→相続後すぐに売却というスキームは、税務署に「租税回避行為」として否認されるリスクが極めて高くなっています(最高裁判例あり)。安易な節税目的での購入は絶対に避けてください。


第3の柱:非課税枠・控除を最大化する

① 生命保険の活用(非課税枠+納税資金確保)

死亡保険金には法定相続人1人あたり500万円の非課税枠があります。

💡 ポイント

生命保険は「非課税枠の活用」だけでなく「納税資金の確保」「遺産分割の調整弁」としても極めて有効です。死亡保険金は受取人固有の財産であり、遺産分割協議の対象外。「特定の子供に多く渡したい」「納税資金を確実に確保したい」という場合に、最もシンプルかつ確実な方法です。

② 養子縁組

孫や子の配偶者を養子にすることで、法定相続人の数を増やせます。

③ 配偶者の税額軽減

配偶者は「法定相続分」または「1億6,000万円」のいずれか大きい方まで相続税がかかりません。

⚠️ 注意

配偶者控除を最大限使って「一次相続の税金ゼロ」にするのは危険な戦略です。配偶者に財産が集中すると、その配偶者が亡くなった時の「二次相続」で子供たちの税負担が爆発的に増加します。一次相続と二次相続をトータルで計算し、最適な分割比率をシミュレーションしてください。

④ 墓地・仏壇の購入(祭祀財産)

お墓や仏壇は「非課税財産」です。生前に購入して代金を支払い済みにしておけば、その分だけ課税対象の現金が減ります。ただし、ローンで購入して未払い部分がある場合、その債務は控除できませんので注意してください。


番外編:納税資金の確保も忘れずに

いくら節税できても、税金を払う現金がなければ「黒字倒産」のように破綻します。特に不動産オーナーは資産の大部分が不動産であるため、この問題は深刻です。


対策の第一歩は「現状把握」から

ここまで多くの手法をご紹介しましたが、すべてをやる必要はありません。まずは以下の3ステップでスタートしてください。

  1. 財産目録の作成:不動産、預金、株式、保険、借入金などすべてを書き出す
  2. 相続税の試算:現状のままだと相続税がいくらかかるのかを知る
  3. 遺言書の作成:「誰に何を渡すか」を決める。これが最大の争族防止策

💡 ポイント

相続税対策は、家族構成・資産構成・将来の見通しによって「正解」がまったく異なります。ネットの情報だけで判断せず、必ず相続に詳しい税理士にシミュレーションを依頼してください。初回相談を無料で受け付けている事務所も多いので、気軽に相談することが最初の一歩です。


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宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

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