「相続税対策、何から手をつければいいのか分からない」 「ネットで調べても、制度が複雑で自分に合うものが判断できない」
そう感じていませんか?
相続税対策は、時間が経てば経つほど選択肢が狭まります。しかし、正しい知識を持って早めに行動すれば、大切な資産を確実に次世代へ残すことが可能です。
今すぐ検討すべき手法を余すことなく解説します。情報は多いですが、ぜひ最後まで目を通し、ご自身の状況に合うものをピックアップしてください。
相続税対策の「3つの柱」とは?
具体的な手法に入る前に、大原則をお伝えします。相続税対策は大きく分けて以下の3つのアプローチしかありません。
- 財産を減らす(生前贈与など)
- 財産の評価を下げる(不動産・特例活用)
- 納税資金・非課税枠の確保(保険・基礎控除)
これらをバランスよく組み合わせることが成功の鍵です。それでは具体的に見ていきましょう。
1. 財産そのものを減らす「生前贈与」の活用
将来の相続財産(現金など)を、生前のうちに子や孫へ移転させる方法です。令和6年度の税制改正によりルールが大きく変わっていますので注意が必要です。
① 暦年贈与(年間110万円の非課税枠)
もっともポピュラーな方法です。年間110万円までなら贈与税がかかりません。
- メリット: 長期間かければ大きな額を移転できる。
- 【重要】注意点: 改正により、相続発生時からさかのぼって「過去7年間」の贈与は相続財産に持ち戻し(加算)されることになりました。駆け込み贈与の効果が薄くなっているため、早めの着手が必須です。
② 相続時精算課税制度(新ルールの活用)
60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、2,500万円まで非課税で贈与できる制度です(相続時に精算します)。
- 【重要】改正点: 令和6年以降、この制度を利用しても「年間110万円の基礎控除」が別途新設されました。この110万円分は相続時に持ち戻す必要がありません。「暦年贈与」よりこちらが有利になるケースが増えています。
③ 目的別の「一括贈与」特例
使用目的を限定することで、まとまった金額を非課税で贈与できます。
- 教育資金の一括贈与: 30歳未満の子・孫へ最大1,500万円まで。
- 結婚・子育て資金の一括贈与: 18歳〜50歳未満の子・孫へ最大1,000万円まで。
- 住宅取得等資金の贈与: 子や孫が家を建てる資金として。省エネ住宅なら1,000万円、それ以外は500万円まで(※年度により要件変動あり)。
2. 財産の「評価」を下げる(不動産・特例の活用)
現金は「1億円=評価額1億円」ですが、不動産に変えることで相続税上の評価額を圧縮できます。
① 小規模宅地等の特例(最大80%減額)
土地の相続において最強の節税特例です。亡くなった方が住んでいた土地(330㎡まで)や事業用の土地などは、評価額を最大80%減額できます。
- 対策: 「同居」や「家なき子特例」の要件を満たすか確認し、適用できるように準備しておくことが重要です。
② 現金を不動産に換える(賃貸物件の建築・購入)
現金をアパートやマンションに変えると、評価額が下がります。
- 土地: 自分の土地に貸家を建てることで「貸家建付地」となり、更地評価より約2割下がります。
- 建物: 固定資産税評価額は建築費の50〜70%程度。さらに賃貸に出すことで借家権割合(30%)が引かれます。
- 結果: 現金で持っているよりも大幅に評価額を圧縮できます。
③ タワーマンション等の購入(※要注意)
いわゆる「タワマン節税」です。市場価格と評価額の乖離を利用しますが、現在は評価ルールの見直し(マンション評価の適正化)が進んでいます。安易に行うとリスクがあるため、必ず専門家のシミュレーションが必要です。
3. 非課税枠・控除を増やすテクニック
① 生命保険の活用
死亡保険金には、以下の非課税枠があります。
5,000万円 × 法定相続人の数
手元の現金を一時払い終身保険などに変えておくだけで、この枠の分だけ無税で現金を渡せます。
② 養子縁組
孫や子の配偶者を養子にすることで、法定相続人の数を増やせます。
- 効果: 基礎控除額(3,000万円+600万円×人数)が増える。生命保険の非課税枠も増える。
- 制限: 実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人まで算入可能です。
③ 墓地・仏壇の購入(祭祀財産)
お墓や仏壇は「非課税財産」です。生前に購入して未払いをなくしておけば、その購入費用の分、相続財産(現金)を減らすことができます。
4. 納税資金の確保と争族対策
いくら節税できても、税金を払う現金がなければ「黒字倒産」のように破産してしまいます。また、分けにくい不動産ばかりだと家族が揉めます。
- 生命保険での現金確保: 受取人を指定できるため、特定の相続人に納税資金や代償分割資金(不動産をもらう代わりに他の兄弟に渡す現金)を用意できます。
- 資産の組み換え: 収益性の低い土地や、遺産分割で揉めそうな土地は生前に売却し、現金化するか、分けやすい資産に変えておきましょう。
対策の第一歩は「現状把握」から
ここまで多くの手法をご紹介しましたが、すべてをやる必要はありません。まずは以下の手順でスタートしてください。
- 財産目録の作成: 不動産、預金、株などすべてを書き出す。
- 相続税の試算: 現状でいくらかかるのかを知る。
- 遺言書の作成: 「誰に何を渡すか」を決める。これが一番の揉め事防止になります。
相続税対策は、家族構成や資産状況によって「正解」が異なります。 「自分の場合はどうなる?」と気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。

