ホーム賃貸経営 › 賃貸経営の仕事は、お金と…

賃貸経営の仕事は、お金と人の管理と、建物の管理の2つ

大家になると、やることが一度に増えます。掃除や電球の交換だけではありません。募集も、家賃の入金の確認も、点検の手配も回ってきます。

買った人も、建てた人も、相続した人も、仕事の中身は同じです。賃貸経営の仕事は、家賃と入居者をあつかうお金と人の管理と、点検と修繕をする建物の管理の2つに分かれます。この2つを誰がどこまで担うかを決めるところから始まります。

この記事でわかること
  1. 01
    賃貸経営の仕事は、2つに分かれる
  2. 02
    お金と人の管理は、募集から退去精算まで6つに分かれる
  3. 03
    建物の管理は、点検と清掃と修繕に分かれる
  4. 04
    自分でやるか、管理会社に任せるか
  5. 05
    管理会社に任せるなら、登録と報告を確かめる

1. 賃貸経営の仕事は、2つに分かれる

賃貸経営でやることは、大きく2つに分けられます。どちらか片方だけでは、経営は回りません。

お金と人を管理する

開いた通帳の横に無地の申込用紙と鍵が1本置かれている線画

家賃と入居者をあつかいます

やり方入居者を募集し、契約を結び、毎月の家賃を回収し、入居中の連絡に対応します。業界ではPM(プロパティマネジメント)と呼ばれます。

問題ここが止まると、空室と滞納が同時に増えます。

建物を管理する

アパートの模型の脇に脚立とブリキのバケツが置かれている線画

建物そのものを保ちます

やり方法律で決まった点検、共用部の清掃、設備の修繕をします。業界ではBM(ビルマネジメント)と呼ばれます。

問題手を抜くと建物が傷み、入居者が離れます。

この2つの上に、この物件を持ち続けるか、直すか、売るかを決めます。まずは上の2つを押さえれば足ります(「賃貸経営の次の一手は、増やす、法人にする、売るの3つ」)。

2. お金と人の管理は、募集から退去精算まで6つに分かれる

お金と人の管理は、入居者の入れ替わりに沿って回ります。1周は6つの仕事です。

入居が決まるまで

先に近隣の相場を調べて、家賃と募集の条件を決めます

1入居者を募集する仲介会社に依頼し、掲載先・写真・募集図面を決める
2審査して契約を結ぶ入居希望者の支払い能力を確かめ、賃貸借契約を結ぶ
3毎月の家賃を管理する入金を1戸ずつ確認し、遅れがあれば督促する

家賃の決め方は「家賃はいくらにするか」にまとめています。

入居中から、次の募集へ

ここから入居者とのやり取りが続きます

4入居中の連絡に対応する設備の故障、騒音、ゴミ出しの相談を受けて動く
5契約を更新する契約期間が終わる前に、更新の案内と手続きをする
6退去を精算する立会い、原状回復の手配、敷金の精算をして次の募集へ

募集と退去精算で差がつきます。敷金の返し方でもめると、次の募集にかける時間が減ります(「敷金は、退去の立会いから返還まで6つの手順で精算する」)。

3. 建物の管理は、点検と清掃と修繕に分かれる

建物の管理は、法定点検、清掃、修繕の3つに分かれます。どれも建物の寿命と、入居者が住み続けるかどうかに直結します。

法律で決まった点検をする

壁に掛けた消火器と、その下に置かれた無地の点検票の線画

法律で周期が決まっている点検があります

やり方消防用設備は、機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごとです。共同住宅は3年に1回、消防署へ報告します(消防法17条の3の3)。

エレベーターは建築基準法でおおむね年1回の検査と報告が必要です。一定規模以上の受水槽は、水道法で年1回の清掃と検査です。

注意対象になるかどうかと周期は、建物の規模と自治体の指定で変わります(「賃貸物件と消防法」)。

清掃をする

建物の入口に箒とちりとりが立てかけられ、床の一角だけが金茶の線画

共用部は、内見に来た人が最初に見る場所です

やり方日常の掃き掃除に、定期的な床洗浄と高圧洗浄を組み合わせます。エントランスと廊下が汚れていると、部屋を見る前に印象が決まります。

注意敷地に植栽があれば、剪定と雑草の処理も入ります。放置すると、虫と落ち葉の相談が来ます。

修繕をする

アパートの外壁に沿って足場が組まれ、足場の一段だけが金茶の線画

突発、計画、大規模の3種類があります

やり方給湯器の故障や水漏れが突発修繕、設備の更新や内装の直しが計画修繕、外壁塗装や屋上防水が大規模修繕です。

注意大規模修繕はおおむね10〜15年の周期で、まとまった出費になります。時期と資金を先に決めておきます。

4. 自分でやるか、管理会社に任せるか

ここまでの仕事は、自分でやれば自主管理、管理会社に頼めば委託管理です。委託料は、家賃収入の5%前後(3〜8%程度の幅)が目安になります。

自主管理か委託かを決める

家賃収入が年480万円なら、委託料5%は年24万円になります

夜間や休日の突発の連絡を……

引き受けられる自主管理にすれば、年24万円が浮くそのかわり、2章の6つの仕事を全部自分がやることになる
引き受けにくい委託したほうが割に合う集金だけ、募集だけを頼む部分委託もできる

金額よりも、自分の時間と、突発対応を引き受けられるかどうかで判断します。数字で並べる手順は「管理を任せるか自分でやるかは、手取りで比べる」にまとめています。

5. 管理会社に任せるなら、登録と報告を確かめる

管理会社に任せるときは、2021年に全面施行された賃貸住宅管理業法が基準になります。次を確かめます。

登録の制度がある

無地の証明書1枚と、その脇に置かれた角印の線画

管理戸数200戸以上の業者は、国土交通大臣への登録が要ります

やり方登録業者かどうかは、国土交通省のサイトで確認できます。会社選びの分かりやすい目安になります。

契約前の説明が要る

無地の罫線が引かれた契約書に印鑑を押している手元の線画

任せる仕事の中身と報酬は、契約の前に説明されます

やり方何をどこまでやるかは、管理受託契約書で決まります。国土交通省の「賃貸住宅標準管理委託契約書」が、範囲を確かめるときの基準になります。

解決毎月の入金状況と対応の記録は、報告書で届きます。届いていないなら、報告の形を決め直します。

サブリースには別の規制がある

家の模型にひと回り大きな無地の覆いがかぶさっている線画

まるごと借り上げて転貸する方式は、規模を問わず対象です

やり方誇大広告の禁止と、契約前の重要事項説明が、すべての業者に義務づけられました。

注意家賃の保証は、契約の条項しだいで見直されます(「「30年家賃保証」が法的には保証されない理由」)。

管理委託料、点検費、清掃費、修繕費は、いずれも不動産所得の必要経費になります。大規模修繕に備えた積立には注意が必要です。自分の口座に積んでいるだけでは経費にならず、実際に修繕をした年の経費になります(工事の内容によっては、資産に計上して減価償却します)。

まとめ

要点

まず、今日できること

  1. 2章の6つの仕事について、いま誰がやっているかを1行ずつ書き出す
  2. 管理会社に任せているなら、直近3か月の管理報告書が手元にあるかを確かめる
  3. 消防用設備の直近の点検日と、外壁を塗り替えた年を確かめる

次に読む:物件の書類は、1物件1ファイルにまとめて残す管理を任せるか自分でやるかは、手取りで比べる

出典

※確認日:2026年9月3日。管理委託料の水準と、点検の対象や周期は、地域・会社・建物の規模によって幅があります。本記事は一般的な仕組みを説明するもので、個別の税務相談ではありません。任せる仕事の範囲は管理受託契約書で確かめ、修繕費の扱いは税理士にご確認ください。

公開 2026.01.21 / 更新 2026.09.07 賃貸経営 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)
1
賃貸経営の12工程

工程1 賃貸経営の全体像

大家の仕事の全体像と、成功する人・失敗する人の分かれ目を先につかみます。

この工程の記事

この記事は 相続手続き STEP 8「名義を変えて、経営を引き継ぐ」 でも紹介しています。

12工程の全体像を見る

「賃貸経営」の入口は2つあります

MONITOR 無料モニターを募集しています

筆者(宍倉)が、オンライン90分の無料モニターを募集中です。事前のヒアリングをもとに資料をこちらで用意し、当日は一緒に眺めながら話します。

参加費は無料です。枠が埋まり次第、受付を終了します。

記事を読んでも判断に迷うときは、
個別にご相談いただけます。
宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

工程2 引き継ぎ・現状把握物件の書類は、1物件1ファイルにまとめて残す
上に戻る