大家になると、やることが一度に増えます。掃除や電球の交換だけではありません。募集も、家賃の入金の確認も、点検の手配も回ってきます。
買った人も、建てた人も、相続した人も、仕事の中身は同じです。賃貸経営の仕事は、家賃と入居者をあつかうお金と人の管理と、点検と修繕をする建物の管理の2つに分かれます。この2つを誰がどこまで担うかを決めるところから始まります。
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1. 賃貸経営の仕事は、2つに分かれる
賃貸経営でやることは、大きく2つに分けられます。どちらか片方だけでは、経営は回りません。
お金と人を管理する

家賃と入居者をあつかいます
やり方入居者を募集し、契約を結び、毎月の家賃を回収し、入居中の連絡に対応します。業界ではPM(プロパティマネジメント)と呼ばれます。
問題ここが止まると、空室と滞納が同時に増えます。
建物を管理する

建物そのものを保ちます
やり方法律で決まった点検、共用部の清掃、設備の修繕をします。業界ではBM(ビルマネジメント)と呼ばれます。
問題手を抜くと建物が傷み、入居者が離れます。
この2つの上に、この物件を持ち続けるか、直すか、売るかを決めます。まずは上の2つを押さえれば足ります(「賃貸経営の次の一手は、増やす、法人にする、売るの3つ」)。
2. お金と人の管理は、募集から退去精算まで6つに分かれる
お金と人の管理は、入居者の入れ替わりに沿って回ります。1周は6つの仕事です。
入居が決まるまで
先に近隣の相場を調べて、家賃と募集の条件を決めます
家賃の決め方は「家賃はいくらにするか」にまとめています。
入居中から、次の募集へ
ここから入居者とのやり取りが続きます
募集と退去精算で差がつきます。敷金の返し方でもめると、次の募集にかける時間が減ります(「敷金は、退去の立会いから返還まで6つの手順で精算する」)。
3. 建物の管理は、点検と清掃と修繕に分かれる
建物の管理は、法定点検、清掃、修繕の3つに分かれます。どれも建物の寿命と、入居者が住み続けるかどうかに直結します。
法律で決まった点検をする

法律で周期が決まっている点検があります
やり方消防用設備は、機器点検が6か月ごと、総合点検が1年ごとです。共同住宅は3年に1回、消防署へ報告します(消防法17条の3の3)。
例エレベーターは建築基準法でおおむね年1回の検査と報告が必要です。一定規模以上の受水槽は、水道法で年1回の清掃と検査です。
注意対象になるかどうかと周期は、建物の規模と自治体の指定で変わります(「賃貸物件と消防法」)。
清掃をする

共用部は、内見に来た人が最初に見る場所です
やり方日常の掃き掃除に、定期的な床洗浄と高圧洗浄を組み合わせます。エントランスと廊下が汚れていると、部屋を見る前に印象が決まります。
注意敷地に植栽があれば、剪定と雑草の処理も入ります。放置すると、虫と落ち葉の相談が来ます。
修繕をする

突発、計画、大規模の3種類があります
やり方給湯器の故障や水漏れが突発修繕、設備の更新や内装の直しが計画修繕、外壁塗装や屋上防水が大規模修繕です。
注意大規模修繕はおおむね10〜15年の周期で、まとまった出費になります。時期と資金を先に決めておきます。
4. 自分でやるか、管理会社に任せるか
ここまでの仕事は、自分でやれば自主管理、管理会社に頼めば委託管理です。委託料は、家賃収入の5%前後(3〜8%程度の幅)が目安になります。
自主管理か委託かを決める
家賃収入が年480万円なら、委託料5%は年24万円になります
夜間や休日の突発の連絡を……
金額よりも、自分の時間と、突発対応を引き受けられるかどうかで判断します。数字で並べる手順は「管理を任せるか自分でやるかは、手取りで比べる」にまとめています。
5. 管理会社に任せるなら、登録と報告を確かめる
管理会社に任せるときは、2021年に全面施行された賃貸住宅管理業法が基準になります。次を確かめます。
登録の制度がある

管理戸数200戸以上の業者は、国土交通大臣への登録が要ります
やり方登録業者かどうかは、国土交通省のサイトで確認できます。会社選びの分かりやすい目安になります。
契約前の説明が要る

任せる仕事の中身と報酬は、契約の前に説明されます
やり方何をどこまでやるかは、管理受託契約書で決まります。国土交通省の「賃貸住宅標準管理委託契約書」が、範囲を確かめるときの基準になります。
解決毎月の入金状況と対応の記録は、報告書で届きます。届いていないなら、報告の形を決め直します。
サブリースには別の規制がある

まるごと借り上げて転貸する方式は、規模を問わず対象です
やり方誇大広告の禁止と、契約前の重要事項説明が、すべての業者に義務づけられました。
注意家賃の保証は、契約の条項しだいで見直されます(「「30年家賃保証」が法的には保証されない理由」)。
まとめ
- 賃貸経営の仕事は、お金と人の管理と、建物の管理の2つに分かれます
- お金と人の管理は、募集、審査と契約、家賃の管理、入居中の対応、更新、退去精算の6つに分かれます
- 建物の管理は、点検と清掃と修繕に分かれ、大規模修繕は時期と資金を先に決めます
- 委託料は家賃収入の5%前後が目安で、金額より自分の時間と突発対応で決めます
- 管理関係の支出は必要経費になるが、修繕の積立は実際に修繕をした年の経費になります
まず、今日できること
- 2章の6つの仕事について、いま誰がやっているかを1行ずつ書き出す
- 管理会社に任せているなら、直近3か月の管理報告書が手元にあるかを確かめる
- 消防用設備の直近の点検日と、外壁を塗り替えた年を確かめる
出典
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)(管理業者の登録、管理受託契約とサブリースの規制)
- 消防法17条の3の3(消防用設備等の点検・報告)
- 建築基準法12条(定期調査・検査報告)
- 水道法34条の2(簡易専用水道の管理)
- 所得税法26条(不動産所得)、37条(必要経費)
- 国土交通省「賃貸住宅標準管理委託契約書」
※確認日:2026年9月3日。管理委託料の水準と、点検の対象や周期は、地域・会社・建物の規模によって幅があります。本記事は一般的な仕組みを説明するもので、個別の税務相談ではありません。任せる仕事の範囲は管理受託契約書で確かめ、修繕費の扱いは税理士にご確認ください。
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この記事は 相続手続き STEP 8「名義を変えて、経営を引き継ぐ」 でも紹介しています。
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