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亡くなった人の所得税は、相続人が4か月以内に申告する

相続税の10か月は知られています。その手前に4か月の期限があります。亡くなった人のその年の所得税を、相続人が代わりに申告する準確定申告です。

家賃収入があった人は、ほぼ対象です。期限、家賃と控除の区切り方、いちばん落としやすい青色申告の引き継ぎを順に説明します。

この記事でわかること
  1. 01
    期限は4か月で、相続税より先に来る
  2. 02
    亡くなった年の所得は、死亡日で2つに分かれる
  3. 03
    控除と経費は、死亡日で区切る
  4. 04
    青色申告は引き継がれない。相続人が期限内に申請する
  5. 05
    消費税の期限も4か月で、納めた税と戻った税は扱いが違う

1. 期限は4か月で、相続税より先に来る

亡くなったあとの、税金の期限

起点亡くなった日正確には、相続を知った日の翌日から数える
4か月準確定申告1月1日から死亡日までの所得税を指し、消費税の課税事業者なら消費税も申告する
10か月相続税の申告と納税こちらは後に来る

1月1日から3月15日までに亡くなり、前年分の申告がまだなら、前年分も同じ4か月以内です。2月10日に亡くなれば、前年分と、1月1日から2月10日までの分の2回分を、6月10日までに出します。

誰が出すか

申告用紙の下に丸い印影が3つ並び、左端だけが金茶の線画

相続人全員が連署して、1通出します

やり方付表に各人の氏名・住所・相続分を書きます。提出先は、亡くなった人の納税地の税務署です(所得税法124条・125条)。納める税金は、相続分に応じて負担します。

注意別々に出すこともできます。その場合は、ほかの相続人に申告の内容を知らせます。

出す必要がある人

アパートの模型の横に、申告用紙と電卓がある線画

家賃収入があった人は、ほぼ対象になります

やり方事業所得か不動産所得があった。給与を2か所以上から受けていた。給与が2,000万円を超えていた。年金が400万円を超えていた。不動産や株を売った。どれかに当てはまれば出します。

注意年金だけで額が小さければ、不要なこともあります。医療費控除で還付になるなら、出したほうが得です。

2. 亡くなった年の所得は、死亡日で2つに分かれる

亡くなった年の所得税は、死亡日で分かれます

机の上の申告用紙に、たたんだ老眼鏡が置かれている線画

1月1日〜死亡日亡くなった人の分になります

相続人が代わりに準確定申告をします。期限は4か月以内になります

申告用紙と電卓と、削りたての鉛筆の線画

死亡日の翌日〜12月31日引き継いだ人の分になります

相続人自身が確定申告をします。期限は翌年3月15日になります

家賃は、支払期日で分けます。死亡日までに期日が来た家賃は、入金がまだでも亡くなった人の収入です。死亡後に期日が来る家賃は、相続人の不動産所得です。どこで区切ったか、あとで説明できるようにしておきます。

3. 控除と経費は、死亡日で区切る

医療費・保険料

薬袋の手前に領収書が数枚あり、いちばん上の印影だけが金茶の線画

死亡日までに払った分だけが対象になります

やり方医療費控除、社会保険料・生命保険料・地震保険料の控除は、死亡日までに払った分が対象です。

注意死亡後に相続人が払った入院費は、ここには入りません。そのかわり、相続税の計算で債務として引けます(相続税法13条)。どちらで引くかは、払った時期で決まります。

配偶者控除・扶養控除・基礎控除

人の形の駒が3つ並ぶ線画

死亡日の状態で判定します。基礎控除は満額になります

やり方配偶者控除と扶養控除は、死亡日の現況で判定します。基礎控除は月割りせず、満額です。

例青色申告特別控除も、要件を満たしていれば使えます。

建物の減価償却

マス目だけの卓上カレンダーとアパートの模型。マス目のひとつだけが金茶の線画

1月1日から死亡日までを月割りします

やり方亡くなった人の分は、死亡日までの月数で計上します。相続人は、相続した日から自分の不動産所得で続けます。

注意亡くなった人の取得価額、未償却残高、経過年数を引き継ぎます(所得税法施行令126条2項)。相続税評価額で買い直したことにはなりません。

4. 青色申告は引き継がれない。相続人が期限内に申請する

青色申告の引き継ぎは、賃貸物件の相続でいちばん金額に影響します。亡くなった人が青色申告でも、相続人には自動で引き継がれません。相続人が自分で「所得税の青色申告承認申請書」を出します(所得税法144条)。出さなければ白色申告です。65万円(または55万円)の青色申告特別控除も、専従者給与も使えません。

相続人の青色申告承認申請は、いつまでか

死亡日が1月1日〜8月31日なら、死亡日から4か月以内

年の後半に亡くなった場合は、期限が短くなります

9月1日〜10月31日その年の12月31日まで
11月1日〜12月31日翌年の2月15日まで

亡くなった人が白色申告だった場合や、相続人がすでにほかの事業を営んでいた場合は、原則どおりの期限(業務を始めた日から2か月以内、またはその年の3月15日)です。

すでに自分の事業で青色申告をしている相続人は、新しい申請は要りません。あわせて、亡くなった人の廃業届と相続人の開業届(事業を引き継いだ日から1か月以内)、家族に給与を出すなら青色事業専従者給与の届出、償却方法を選ぶならその届出も出します。

5. 消費税の期限も4か月で、納めた税と戻った税は扱いが違う

消費税も4か月以内に申告する

駐車場の車止めと、奥にシャッターの下りた店舗がある線画

店舗や駐車場の収入が多かった家は、対象になります

やり方亡くなった人が消費税の課税事業者だったなら、消費税の準確定申告も4か月以内です(消費税法45条2項・3項)。

注意引き継いだ相続人が課税事業者になるかは、亡くなった人の基準期間の課税売上高で判定します(消費税法10条)。自分の売上が小さくても、引き継いだ年から課税事業者になることがあります。

納めた税と、戻った税は扱いが違う

封筒から半分出た紙幣と、その横の納付書の線画

納めた税は債務になり、戻った税は財産になります

やり方準確定申告で納めた所得税と住民税は、亡くなった人の債務として、相続税の計算で引けます。還付された所得税は、相続財産として相続税の対象です。

注意還付金に付く還付加算金は、相続財産ではなく、受け取った相続人の雑所得です。還付金は遺産分割の対象にもなるので、小さくても漏らさないようにします。

まとめ

要点

まず、今日できること

  1. 亡くなった日の翌日から4か月後の日付を書く。1〜3月なら、前年分の申告が済んでいるかも確かめる
  2. 家賃の支払期日と入金を、死亡日の前後で分けて表にする
  3. 相続人の青色申告承認申請書の期限を、死亡日から出す。開業届もあわせて出す

次に読む:自主管理の帳簿づけ/大家の所得税は、家賃から経費を引いた不動産所得にかかる

出典

※確認日:2026年9月3日。本記事は一般的な仕組みを説明するもので、個別の税務相談ではありません。控除の区切りや青色申告の期限は、亡くなった日と相続人の状況で変わります。財産の一覧と亡くなった人の前年の申告書を用意したうえで、税理士にご確認ください。

公開 2026.07.26 / 更新 2026.09.07 相続対策 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)
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相続対策の12工程

工程7 相続発生直後に動く

亡くなった直後は期限との戦い。何から動くかを時系列で押さえます。

この記事は 相続手続き STEP 5「準確定申告を出す」 でも紹介しています。

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宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

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