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売却の特例4つ──マイホーム3,000万円控除・空き家の3,000万円控除・軽減税率・取得費加算

公開 2026.08.07 不動産売却 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)

取得費と譲渡費用を引いても、まだ大きなもうけが残ることがあります。そこから先を削るのが特例です。使えれば税額がゼロになることも珍しくありません。

ただし、特例にはほぼ全部「期限」があります。しかも数え方が独特で、住まなくなってから3年、相続してから3年。この線を1日でも過ぎると、何千万円ぶんの控除がまるごと消えます。

※本記事の人物・金額はすべて架空のモデル事例です。一般的な仕組みを解説するもので、個別の税務・法務相談ではありません。

→ 全体の流れは 不動産売却の全体像。この記事は章7「特例を確かめる」の解説です。

この記事でわかること


1. マイホームの3,000万円特別控除

自分が住んでいた家を売ったとき、もうけから最大3,000万円を引けます(租税特別措置法35条1項)。所有期間の長さは問われません。

期限の数え方に注意してください。「3年」ではなく「3年を経過する日の属する年の12月31日」です。2023年5月に引っ越したなら、2026年5月を過ぎても、2026年12月31日までは間に合います。

なお、この控除を使うと、その年と前後2年は住宅ローン控除が使えません。買い替えるときは、どちらが得か必ず比べます。

2. 空き家(被相続人の居住用家屋)の3,000万円控除

親が一人で住んでいた実家を相続し、売ったときにも3,000万円を引ける特例があります(同35条3項)。条件が多いので、表で確認します。

条件 中身
建築時期 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(旧耐震)
住んでいた人 亡くなる直前まで被相続人が一人で住んでいたこと(老人ホーム入所は一定の要件で可)
その後の使い方 相続してから売るまで、誰も住まず、貸さず、事業にも使っていないこと
売り方 耐震改修して売るか、取り壊して土地として売ること
金額 売却代金が1億円以下
期限 相続の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

2024年1月1日以後の売却からは、買主が引き渡し後・翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しをした場合でも認められるようになりました。売主が先に工事をしなくてよくなった、という改正です。

一方で、同じ改正で相続人が3人以上いる場合の控除額は1人あたり2,000万円に下がりました。兄弟3人で共有相続した実家を売る場合は、3,000万円ではなく2,000万円ずつになります。この特例の適用期限は2027年(令和9年)12月31日までです。

手続きでは、市区町村が出す被相続人居住用家屋等確認書が必要です。取得に時間がかかるので、売却の日程と並行して動きます。→ 不動産は分けられない——現物・代償・換価・共有、4つの分け方と税金

3. 所有10年超のマイホームは、税率も下がる

売った年の1月1日で所有期間が10年を超えるマイホームなら、税率そのものが下がります(同31条の3)。3,000万円控除と重ねて使えます。

控除後のもうけ 税率(所得税+復興税+住民税)
6,000万円以下の部分 14.21%
6,000万円を超える部分 20.315%

【モデル事例】 12年住んだ自宅を売り、もうけが4,000万円出た。3,000万円控除で1,000万円まで下がり、さらに軽減税率14.21%が使えて税額はおよそ142万円。控除も軽減税率もなければ約813万円だった。

4. 相続税を払ったなら、取得費加算

相続した不動産を売る場合、払った相続税のうちその不動産に対応する分を取得費に足せます(同39条)。期限は相続税の申告期限の翌日から3年以内——相続開始から数えると3年10か月です。

上の「空き家の3,000万円控除」とはどちらか一方しか使えません。金額を試算して有利なほうを選びます。相続した実家を売るときは、この2つと期限を最初に確認してください。→ 相続対策の全体像

まとめ

→ 次に読む:申告して納める(章8)


出典

※確認日:2026年8月7日。特例には適用期限があり、改正で条件が変わります。使う年の要件を必ず確認してください。試算の税額は概算です。

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宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

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