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実際に相続が起きたら──葬儀のあと、申告と登記までの手順

公開 2026.08.04 / 更新 2026.08.07 相続対策 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)

ここからは、相続が起きた後の話です。やることは多いですが、動く順番は期限で決まっています。急ぐものから並べると、7日(死亡届)・3か月(相続放棄)・4か月(準確定申告)・10か月(相続税の申告と納税)・3年(相続登記)です。

いちばん注意したいのは、期限そのものより「全体が見える前に財産に手をつけない」ことです。理由は本文で説明します。

※本記事の人物・金額はすべて架空のモデル事例です。一般的な仕組みを解説するもので、個別の税務・法務相談ではありません。

→ 全体の流れは 相続対策の全体像。この記事は章7「実際に相続が起きたら」の解説です。

この記事でわかること


1. 直後の1〜2週間

このころ銀行が死亡を把握すると、口座は凍結されます。凍結中でも、相続人1人で一定額まで引き出せる仮払い制度があります(民法909条の2。1金融機関150万円まで)。葬儀費用はここでまかなえることが多いです。→ 凍結中に引き出せる「仮払い」の上限と手順

2. 遺言書を探す。勝手に開けない

分け方の前提になるので、早い段階で遺言書の有無を確かめます。

遺言書があれば、原則としてその内容で進みます。なければ、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めます。

3. 3か月──相続放棄の期限

借金のほうが多い場合などは、家庭裁判所に申し立てて相続を放棄できます。期限は、相続を知った日から3か月です(民法915条)。

ここで冒頭の注意が効いてきます。財産を売ったり使ったりすると、相続を受け入れた(単純承認)とみなされ、放棄できなくなります(民法921条)。形見分けの範囲を超えて財産に手をつけるのは、全体像が見えてからにします。→ 相続放棄の期限は3ヶ月──「知った日」から数える熟慮期間と、うっかり単純承認

4. 4か月──準確定申告

亡くなった人のその年の所得税は、相続人が代わりに申告します(準確定申告。所得税法124条・125条)。期限は相続を知った日の翌日から4か月です。賃貸物件があった場合は家賃収入の申告があり、青色申告を引き継ぐ届出にも期限があります。→ 準確定申告は4ヶ月──大家が亡くなった年の所得税と、青色申告を引き継ぐ期限

5. 10か月──相続税の申告と納税

相続税の申告と納税の期限は10か月です(相続税法27条・33条)。それまでに、財産の評価、分け方の確定、申告書の作成、納税資金の用意まで終わらせます。

分け方の話し合いがまとまらなくても、期限は延びません。その場合は、法定相続分で分けたと仮定していったん申告・納税します(未分割申告)。このとき「申告期限後3年以内の分割見込書」を出しておくと、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を、分割が決まった後から使い直せます。

6. 3年──相続登記は義務

相続した不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月から義務になりました。取得を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料の対象です(不動産登記法76条の2・164条)。→ 相続登記は3年以内が義務に──過料10万円と、間に合わないときの相続人申告登記

相続した不動産を売るところまで進むなら、不動産売却の全体像に続きます。売却で相続税の一部を取得費にできる特例(租税特別措置法39条)には、申告期限から3年という期限があります。

まとめ

→ あわせて読む:相続が起きたら、まず何を?──7日・3か月・4か月・10か月の期限カレンダー(期限の一覧表)


出典

※確認日:2026年8月4日。相続放棄・検認・遺産分割の争いは弁護士・司法書士の領域です。期限が近い場合は、まず期限のある手続きから専門家へご相談ください。

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宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

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