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相続税を減らす方法は3つある

誰に何を残すかと、税金を払うお金のめどが立ったら、最後に税金を減らします。

方法はたくさんあるように見えますが、財産を減らす、評価額を下げる、非課税の枠を使う、の3つに分かれます。どれも、やりすぎると税務署に認められません。

この記事でわかること
  1. 01
    方法は3つに分かれる
  2. 02
    生きているうちに少しずつ贈与して、財産を減らす
  3. 03
    土地や建物は、時価より低く評価される
  4. 04
    生命保険の非課税の枠を使う
  5. 05
    やりすぎると、認められない

1. 方法は3つに分かれる

相続税がかかる額は、こう計算する

財産の評価額の合計 − 基礎控除

相続税は、この引き算で残った額にかかります。だから減らす方法は、必ずこの式のどこかを小さくする話になります。財産を減らすと合計が小さくなり、評価額を下げると同じ財産でも合計が小さくなり、非課税の枠に入れた分は合計に入りません。

財産を減らす

紙幣の束を手渡している線画

課税される財産そのものを、生きているうちに渡します

やり方生前贈与です。

例年110万円以内で、何年もかけて渡す。

評価額を下げる

家と土地の評価が下がる様子の線画

税金の計算に使う金額を、下げます

やり方土地や建物の評価の仕組みと、特例を使います。

例小規模宅地等の特例や、貸しているアパート、法人化を使う。

非課税の枠を使う

保険証券と紙幣の束の線画

課税されない枠に、財産を移します

やり方生命保険の非課税の枠です。

例現金1,500万円を、保険金で受け取る形にする。

2. 生きているうちに少しずつ贈与して、財産を減らす

年110万円までの贈与には、贈与税がかかりません。時間をかけて渡すほど財産を減らせる、いちばん確実な方法です。ただし、いまの決まりを押さえます。

亡くなる前7年の贈与は、戻される

卓上カレンダーの紙が7枚重なり、いちばん上だけ金茶の枠の線画

駆け込みの贈与は、税金を減らせません

問題亡くなる前7年以内の贈与は、相続財産に足し戻されます(相続税法19条)。2024年以降の贈与から、3年が7年へ段階的に延びています。

解決早く始めて、長く続けます。もう1つの方式(相続時精算課税)には、2024年から年110万円の枠ができ、この110万円は足し戻されません(相続税法21条の11の2)。どちらを選ぶかは、渡す額と年数で決めます。

「あげたつもり」は、贈与にならない

大人の手が、通帳と印鑑を若い手に手渡している線画

名義だけの預金は、相続財産に戻されます

問題子の名義の口座に親が入金しただけでは、贈与と認められません(名義預金)。

解決贈与のたびに契約書を作り、通帳と印鑑は子が持ち、子が自由に使える状態にしておきます。

くわしくは「生前贈与加算が3年から7年に」「名義預金にしない5つの作法」「相続時精算課税を選ぶ前に」で説明しています。

3. 土地や建物は、時価より低く評価される

相続税の計算では、財産は時価そのものではなく、決められた方法で評価します。評価額と時価との間に差が生まれます。

土地は、路線価で評価する

区画割りの地図の線画。道路のうち1本だけが金茶

おおむね、時価の8割ほどになります

やり方道路ごとに決められた路線価に、面積を掛けて出します。

理由路線価は、時価のおおむね8割を目安に決められています。

貸しているアパートは、さらに下がる

2階建てのアパートの模型が1棟だけ台に載る線画

借りている人の権利の分だけ、評価が下がります

やり方貸家と、貸家建付地の評価を使います。

注意買って評価を下げる対策は、2027年から決まりが変わります。くわしくは「賃貸不動産の5年ルール」

自宅の土地は、特例で評価額が8割減る

家の模型と土地の区画の線画。家の足元の一角だけ金茶

330㎡まで8割減り、賃貸の土地は200㎡まで5割減ります

やり方小規模宅地等の特例を使います(租税特別措置法69条の4)。

注意特例は、申告して初めて使えます。税額が0円になる場合でも、申告は必要です。くわしくは「小規模宅地等の特例を落とさない」

4. 生命保険の非課税の枠を使う

死亡保険金には、非課税の枠がある

保険証券の横に、帯で束ねた紙幣の束がある線画

500万円×相続人の数まで、相続税がかかりません

やり方現金を、保険金で受け取る形に変えます(相続税法12条)。

例現金1,500万円を口座に置いたまま相続すると、全額に税金がかかります。保険金で受け取る形にすると、相続人3人なら全額が枠の中です。

注意税金を払うお金の用意(章4)も兼ねられます。

くわしくは「生命保険は相続対策の一手」で説明しています。

5. やりすぎると、認められない

減らす方法にも、税務署と裁判所に認められない範囲があります。

節税だけが目的なら、不動産を買っても認められない

高層マンションの模型と、その手前の借用書の線画

評価額で申告しても、認められませんでした

問題90歳を過ぎた人が借入でマンションを買い、下がった評価額で申告しました。

注意最高裁は、通常の評価方法によらない課税を認めました(財産評価基本通達6項。最高裁令和4年4月19日判決)。

形だけの養子縁組は、認められない

家系図の線画。実線の子1人と、点線の養子2人のうち1人だけが金茶の円で囲まれている

人数に数えられる養子には、上限があります

問題養子を増やして、相続税の基礎控除の額を上げようとする。

注意数えられる養子は、実子がいれば1人までです。税金を不当に減らす養子は、人数から外されます(相続税法15条2項・63条)。

「節税だけが目的の行為」は、共通して認められません。名義だけ移した預金も同じで、実質で判定されて戻されます。賃貸経営として成り立つ物件を持ち、実際に使ってもらう贈与をすれば、実態のある対策として残ります。

まとめ

要点

まず、今日できること

  1. 財産の合計と基礎控除の額を比べ、超える額を出す(章4の記事)
  2. 超える額を、贈与で何年かけて減らせるか、表にしてみる
  3. 自宅の土地に特例が使えるか(誰が住み続けるか)を確かめる

次に読む:配偶者に全部残すと、2回目の相続で税金が重くなる(章6)

出典

※確認日:2026年9月2日。本記事の人物・金額は架空のモデル事例で、個別の税務・法務相談ではありません。個別の物件・家族構成での効果と否認リスクの判断は、実行前に税理士へご相談ください。

公開 2026.08.04 / 更新 2026.09.07 相続対策 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)

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宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

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