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遺言書は、公証役場、法務局、自宅の順に探す

遺言書があるかないかで、この先の進み方が変わります。分け方を話し合う前に、まず探します。

探す場所は、公証役場、法務局、自宅の3か所です。相続人なら、戸籍と身分証で調べられます。

この記事でわかること
  1. 01
    公証役場、法務局、自宅の順に探す
  2. 02
    遺言書の種類で、検認が要るかどうかが変わる
  3. 03
    検認は、申立てから1〜2か月かかる
  4. 04
    遺言書があれば、書いてあるとおりに分ける
  5. 05
    遺言書がなければ、相続人全員で話し合う

1. 公証役場、法務局、自宅の順に探す

記録で確かめられるところから消していけるので、この順に当たります。自宅は、全部を探し切れたかどうかを確かめられません。

公証役場

受付カウンターに置かれた、綴じ紐で綴じた無地の証書と虫めがねの線画

公正証書遺言は、全国どこの公証役場でも探せます

やり方死亡が分かる戸籍、自分が相続人だと分かる戸籍、身分証を持って行けば照会できます。

注意照会では、遺言があるかないかと、どこで作ったかまでが分かります。中身は、その公証役場に謄本を請求します。

法務局

書庫の棚に無地の保管箱が並び、1つだけ手前に引き出されている線画

預けてあった自筆の遺言は、証明書で分かります

やり方「遺言書保管事実証明書」を請求し、預けてあれば「遺言書情報証明書」で中身が分かります。手数料は、遺言書保管事実証明書が800円、遺言書情報証明書が1,400円です。

注意見つかるのは、2020年7月10日に始まった保管制度に預けてあったものだけです。

自宅と貸金庫

古い木箱から、古びた無地の書類を取り出す手の線画

机、仏壇、金庫、書棚、貸金庫を見ます

やり方通帳や権利証をしまってある場所から見ます。税理士や司法書士が預かっていることもあります。

注意封がしてある遺言は、その場で開けません(民法1004条3項)。開けるのは、家庭裁判所の期日の場です。

公証役場の照会では、1989年(平成元年)以降に作られた遺言書をまとめて調べられます。法務局のほうは、相続人の1人が遺言書情報証明書を取ると、ほかの相続人全員に通知が届く仕組みです(法務局における遺言書の保管等に関する法律9条5項)。

貸金庫は、その場では開けられないことが多くあります。相続人全員の立会いか同意書を求める銀行が多く、先に確かめます。

2. 遺言書の種類で、検認が要るかどうかが変わる

遺言書は3種類あります。検認が要るかは、種類と、どこにあったかで決まります。

自筆証書遺言

手書きの波線で埋まった便箋と万年筆の線画

本人が手書きしたもので、自宅にあれば検認が要ります

やり方全文、日付、氏名を自分で書いて押印した書類です。財産の目録だけはパソコンで作れます(民法968条)。

理由法務局に預けてあったものは検認が要りません。預けた時点で形を確かめ、原本を法務局が持つからです。

公正証書遺言

表紙のついた綴じ書類と印鑑の線画

公証人が作ったもので、検認は要りません

やり方謄本を取れば、そのまま名義変更や解約に使えます(民法1004条2項)。

理由原本が公証役場に残るので、書き換えられる心配がないからです。

秘密証書遺言

封をした無地の封筒に、封じ目をまたぐ金茶の印影がひとつ押されている線画

中身を隠したまま、あることだけを証明したもので、検認が要ります

やり方封をした遺言書を公証役場に持ち込み、自分の遺言だと申し述べます(民法970条)。

注意中身は誰も確かめていないので、書き方が足りずに無効になることがあります。

公正証書遺言と、法務局に預けた自筆の遺言だけは、検認が要りません。それ以外は、家庭裁判所の検認を受けてから使います(民法1004条1項)。検認済証明書がないと、銀行も法務局も手続きを受け付けません。

3. 検認は、申立てから1〜2か月かかる

検認は、その時点の遺言書の形と中身を、記録に残す手続きです。

検認の進み方

出す先亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所です

1申し立てる預かっていた人か、見つけた相続人が申し立てる。遺言書1通につき収入印紙800円と切手が要る
2期日に開ける相続人全員に期日が知らされる。来た人の立会いで封を開け、日付・筆跡・署名・押印を確かめる
3証明書をもらう検認済証明書を付けてもらう。遺言書1通につき収入印紙150円が要る。名義変更はこれで進める

申立てから期日までは、1〜2か月ほどかかることが多くあります。相続人がそろわなくても期日は開かれます。

申立てに出すもの

罫線の冊子が数冊重なり、いちばん上の冊子に金茶の印影がある線画

戸籍で、相続人が全員そろうことを示します

やり方申立書、遺言書、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍を出します。

注意戸籍集めに時間がかかります。相続人を確定する作業と同時に進めます(「相続人は誰で、何人いるか」)。

検認で決まらないこと

木の机に置いた封をした無地の封筒を、ペーパーナイフで開けようとしている手元の線画

検認は、有効か無効かを決める手続きではありません

理由検認は、あとで書き換えられるのを防ぐための記録です。中身のよしあしは判断しません。

注意検認を受けても、書き方が足りない遺言は無効になることがあります。

封がしてある遺言を先に開けても、それだけで遺言が無効になるわけではありません。ただし、検認を受けずに開けた人は5万円以下の過料の対象です(民法1005条)。開けてしまったら、そのままの状態で家庭裁判所へ持って行きます。

4. 遺言書があれば、書いてあるとおりに分ける

遺言書が見つかれば、話し合いをしなくても分け方が決まります。ここからは名義を変える作業です。

そのとおりに分ける

たたんだ布の上に水引で結ばれた無地の巻物が置かれている線画

原則、書いてあるとおりに分けます

やり方検認済証明書の付いた遺言書、公正証書の謄本、遺言書情報証明書のどれかを付けて手続きします。

注意遺言があっても、相続税の申告と納税の期限は10か月のままです。

遺言執行者

ふたを開けた印箱に角印と朱肉が入っている線画

指定されていれば、その人が手続きを進めます

やり方遺言のとおりに実現するために必要な手続きをする権利と義務があります(民法1012条1項)。

注意執行者がいる間は、相続人が財産を勝手に処分できません(民法1013条1項)。

2通出てきたら

細い罫線だけの書類が2通ずれて重なり、上の1通の縁だけが金茶の線で描かれている線画

日付の新しいほうが優先します

やり方内容がぶつかる部分は、あとの遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(民法1023条1項)。

注意ぶつからない部分は、前の遺言もそのまま残ります。全部が置き換わるとはかぎりません。

遺言書があっても、遺留分は消えません。兄弟姉妹以外の相続人には、最低限の取り分が残ります(民法1042条)。取り分がこれに届かない人は、足りないぶんをお金で請求できます(民法1046条)。請求できるのは、それを知った時から1年です(民法1048条)。

相続人全員と、財産を受け取る人の全員が合意すれば、遺言と違う分け方もできるとされています。遺言執行者がいるときは、その同意も要ると考えられています。

賃貸物件があるなら、遺言があるかどうかで引き継ぎ方が大きく変わります。「アパートは長男に」と1行あるだけで、経営の引き継ぎ先が決まります。分け方は「不動産は切って分けられない。分け方は4つある」で説明しています。

5. 遺言書がなければ、相続人全員で話し合う

見つからなければ、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分け方を決めます。

話し合いで決める

丸い座卓に湯呑みが3つと無地の丸盆が置かれている線画

先に相続人と財産を確定してから、分け方を決めます

やり方戸籍で相続人を全員確定し、財産の一覧を作ってから話し合います。1人でも欠ければ話し合いが成立しません。

注意まとまったあとで遺言書が出てくると、やり直しになることがあります。だから先に探し切ります。

窓口を先に決める

2階建てアパートの模型と、受話器を取り上げた固定電話の線画

賃貸物件があるなら、誰が窓口になるかを先に決めます

問題分け方が決まるまでの間も、退去、修繕、家賃の入金は止まりません。

解決管理会社と入居者の窓口を先に決めます。その間の家賃は、民法で決まった割合(法定相続分)で分けるのが原則です。

決め方は「誰に何を残すか、どう決めるか」で説明しています。

まとめ

要点

まず、今日できること

  1. 死亡が分かる戸籍、自分が相続人だと分かる戸籍、身分証をそろえる
  2. 最寄りの公証役場で照会し、同じ書類で法務局に遺言書保管事実証明書を請求する
  3. 自宅を探す。封がしてある封筒が出てきたら、開けずに家庭裁判所へ持って行く

次に読む:相続が起きたら、何をいつまでにやるか相続人は誰で、何人いるか

出典

※確認日:2026年9月3日。本記事は一般的な仕組みを説明するもので、個別の税務・法務相談ではありません。遺言の有効性の判断、検認の申立て、遺留分の請求は、弁護士・司法書士の領域です。

公開 2026.09.03 / 更新 2026.09.07 相続対策 筆者:宍倉奎次郎(税理士・宅地建物取引士・大家)

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宍倉奎次郎
税理士・宅地建物取引士・大家
宍倉 奎次郎

税理士・宅地建物取引士。自身も賃貸物件を持つ大家の立場から、法人化・相続・不動産管理まわりの税務を、制度と判例にもとづいて解説しています。記事内の事例はすべて架空のモデルケースです。制度・税率・判例は年度で変わります。個別具体的な判断は、不動産税務に強い税理士へご確認ください。

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