家賃滞納は「待ったら負け」!少額訴訟の落とし穴と、損を最小限にする最短アクションプラン

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「あれ? 今月分の家賃が振り込まれていない…」

通帳記入をしてその事実に気づいたとき、オーナー様の胸中は穏やかではないはずです。「うっかり忘れているだけかな?」「催促するのは気が引けるな」

そう思って、数日、数週間と様子を見てしまっていませんか?

はっきり申し上げます。その「優しさ」が、後に「数百万円の損失」を生む可能性があります。

家賃滞納への対応は、まさに時間との勝負。1日遅れれば、その分だけ回収不能のリスクが高まります。今回は、大切な資産を守るためにオーナー様が「今すぐやるべきこと」を、時系列で徹底解説します。


なぜ、「様子見」をしてはいけないのか?

これには明確な理由があります。

  1. 回収率は時間が経つほど下がる 滞納が1ヶ月で済む人は、すぐに払います。2ヶ月、3ヶ月と溜め込む人は、そもそも支払い能力がなくなっている可能性が高く、後からまとめて回収するのはほぼ不可能です。
  2. 退去までの「強制的な期間」は決まっている 法的手続きで強制退去させるには、どんなに急いでも半年〜1年近くかかります。スタートが遅れれば、その分だけ「家賃が入らない期間」が伸びるだけなのです。
  3. 保証会社の期限切れ ここが一番の盲点です。多くの家賃保証会社には「滞納発生から○日以内に報告しないと免責(保証金を払わない)」というルールがあります。様子を見ている間に、この期限を過ぎてしまうケースが後を絶ちません。

「鉄は熱いうちに打て、滞納は傷が浅いうちに動け」です。


【Phase 0】まず最初に確認すべきこと

アクションを起こす前に、契約書を確認してください。

  • 家賃保証会社に入っていますか?
    • YESの場合: 入居者への連絡は不要です。今すぐ保証会社へ「事故報告(代位弁済請求)」を入れてください。 これが最優先です。
    • NOの場合: 以下のステップに進んでください。あなたが動かない限り、1円も入ってきません。

【Phase 1】初期対応(滞納数日〜2週間)

目的:うっかりミスの確認と「管理体制」のアピール

滞納に気づいたら、翌日には連絡を入れましょう。「しっかり管理しているオーナーだ」と認識させることが、今後の滞納抑止につながります。

  1. 電話・LINE・メールで連絡
    • スタンス: 怒らず、事務的に。「入金の確認が取れていません。お忘れではないですか?」
    • ゴール: 必ず「いつまでに支払うか」という具体的な日付を約束させてください。
  2. 連帯保証人への連絡
    • 本人と連絡がつかない場合、すぐに保証人へ連絡します。保証人からのプレッシャーは効果的です。

【Phase 2】イエローカード(滞納1ヶ月〜2ヶ月)

目的:契約解除への布石(証拠作り)

約束が守られない、連絡が無視される場合、ここからは「回収」と同時に「追い出し(契約解除)」の準備に入ります。情は捨ててください。

  1. 内容証明郵便を送る(必須!)
    • 普通郵便ではなく、郵便局が内容を証明してくれる「内容証明郵便」を送ります。
    • 内容: 「○月○日までに全額支払わなければ、契約を解除します」という停止条件付契約解除の意思表示をします。
    • これが裁判になった際の「決定的な証拠」となります。

【Column】「少額訴訟」は使えるのか?メリットと落とし穴

滞納額が60万円以下の場合、「少額訴訟」という選択肢が浮上します。

これは、通常の裁判よりも手続きが簡単で、原則として「1回の審理(その日のうち)」で判決が出るスピーディーな制度です。弁護士を立てずに自分で手続きするオーナー様も多く、費用も数千円〜数万円程度で済みます。

「それなら、とりあえず少額訴訟をやればいいのでは?」

そう思われるかもしれませんが、ここには大きな落とし穴があります。

少額訴訟の決定的な弱点

少額訴訟で判決が出るのは「金銭の支払い」についてだけです。 「部屋から出ていけ(明け渡し)」という命令を出すことはできません。

つまり、状況によって使い分ける必要があります。

  • ❌ 入居者がまだ住んでいて、居座っている場合
    • 少額訴訟は不向きです。「お金を払え」という判決が出ても、入居者が開き直って住み続ければ、結局「明け渡し訴訟」をやり直すことになり、二度手間です。
  • ⭕️ すでに入居者は退去したが、滞納分だけ回収したい場合
    • 少額訴訟がベストです。安く早く、未払い分を取り立てる法的根拠(債務名義)を得られます。

【Phase 3】レッドカード(滞納3ヶ月以上)

目的:法的手段による明け渡し

3ヶ月分の滞納があれば、法的に「信頼関係の破壊」が認められやすくなります。ここまできたら、話し合いで解決する可能性は極めて低いです。

  1. 建物明渡請求訴訟(裁判)
    • 少額訴訟ではなく、通常の訴訟で「部屋の明け渡し」と「滞納家賃の支払い」を求めます。
  2. 強制執行
    • 判決が出ても退去しない場合、執行官立会いのもと、強制的に荷物を搬出し鍵を交換します。

この段階になると、弁護士費用や強制執行費用で数十万円以上のコストがかかります。だからこそ、Phase 1、Phase 2で解決することがいかに重要かお分かりいただけると思います。


絶対にやってはいけない「自力救済」

いくら腹が立っても、以下の行為は絶対にNGです。

  • ❌ 勝手に鍵を交換してロックアウトする
  • ❌ 部屋の荷物を勝手に外に出す
  • ❌ 「金返せ」などの張り紙をする

日本の法律では「自力救済(実力行使)」は禁止されています。これをやると、逆にオーナー様が住居侵入罪や器物損壊罪で訴えられ、立場が逆転してしまいます。絶対にやめましょう。

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