家賃が口座に入るようになると、次に税金が来ます。いくらに、どの税率でかかるのかが分からないまま、年が明けて申告の時期になります。
買った人も、建てた人も、相続した人も、計算のやり方は同じです。家賃から経費を引いた不動産所得を、給与など他の所得と合算して税率をかけます。この1本の流れが基本です。
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1. 不動産所得は、家賃から経費を引いて出す
アパート、貸家、駐車場などを貸して得た所得は、所得税では不動産所得に分けられます。計算の順番は3つです。
不動産所得を出して、税金がかかるまで
入金した日ではなく、契約で決めた支払日の金額を見ます
不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費。式はこの1本です。会社に勤めながら物件を持つ人は、給与ですでに上がっている税率の階段の上に、家賃の利益が乗ります。収入と経費を正しく数えることが、税額を下げる出発点になります。
2. 家賃と礼金は収入になる。敷金は原則、収入ではない
受け取ったお金が全部収入になるわけではありません。返すお金かどうかで、収入になるかが決まります。
家賃、共益費、礼金、更新料は収入になる

返さないお金は、そのまま収入になります
やり方名義書換料も同じ扱いです。受け取った年の総収入金額に入れます。
敷金、保証金は預り金になる

預り金として扱い、返さない部分だけが収入になります
やり方返さないことが確定した日に、その分だけ収入に計上します(「敷金は、退去の立会いから返還まで6つの手順で精算する」)。
3. 経費の柱と、お金が出ていかない減価償却費を知る
家賃収入を得るために直接かかった費用のうち、生活のための支出とはっきり分けられる費用だけが、必要経費になります。
費用が毎年出ていく

固定資産税、保険料、修繕費、管理料、広告費などがあります
注意同じ税金でも、所得税と住民税は経費になりません。税理士報酬や通信費は経費に入ります。
借入金の利子だけを経費にする

返済のうち、利子だけが経費になります
理由元本の返済は、借りたお金を返しています。この返済があるため、帳簿の利益が黒字でも手元の現金は減ります。
減価償却費として毎年経費にする

お金が出ていかないのに、毎年経費になります
やり方建物の取得費を、構造ごとに決まった耐用年数に割り振ります。土地は減価償却の対象になりません(「構築物・附属設備・修繕費の分け方」)。
4. 税率は7段階に分かれる。住民税と復興特別所得税が乗る
給与などと合算した課税所得にかかる所得税の税率は、次の7段階です。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円〜194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万円〜329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円〜694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円〜899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円〜1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円〜3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
これに住民税(所得割の標準税率10%)と、復興特別所得税(基準所得税額の2.1%。令和19年分まで)が乗ります。
【モデル事例】給与の課税所得が500万円の会社員に、不動産所得100万円が上乗せされたとします。この100万円には所得税20%と住民税10%がかかり、税の負担はおよそ30万円です(復興特別所得税を除く)。同じ100万円でも、給与の水準が高い人ほど手取りは小さくなります。人物と金額は架空です。
5. 赤字は給与と通算できる。青色申告は3月15日までに申請する
不動産所得が赤字になったら、給与所得など他の黒字と相殺できます(損益通算)。給与から天引きされた所得税が、確定申告で戻ることもあります。ただし、赤字の全部が使えるとは限りません。
土地の借入金の利子の分は、通算できない

赤字のうち、土地を買うための借入金の利子に当たる部分は対象外になります
やり方租税特別措置法41条の4の制限です。土地と建物をフルローンで買った場合など、思ったより赤字が使えないことがあります。
注意別荘のように、主に趣味や保養のために持つ不動産の貸付けで出た赤字も通算できません。
青色申告を選ぶ

特別控除、赤字の3年繰越し、家族への給与などがあります
やり方特別控除は最大10万円で、複式簿記などの要件を満たすと最大65万円です。引き切れない赤字は、翌年以後3年間繰り越せます。
注意65万円の控除と青色事業専従者給与は、貸付けがおおむね5棟10室以上の事業的規模であることが前提です。
まとめ
- 不動産所得は総収入金額から必要経費を引いた額で、給与などと合算して5%から45%の税率がかかります
- 家賃、共益費、礼金、更新料はそのまま収入に入ります。敷金は預り金で、返さないと確定した分だけ収入になります
- 収入に数える時期は契約で決めた支払日になります。滞納中の家賃もその年の収入になります
- 経費の柱は租税公課、保険料、修繕費、管理料、借入金の利子、減価償却費です。元本の返済と土地は対象外です
- 赤字は通算できるが、土地の借入金の利子の分は使えません。青色申告は3月15日までに申請します
まず、今日できること
- 去年1年の家賃、共益費、礼金、更新料を、物件ごとに書き出します
- 返済予定表を開き、去年払った分の利子と元本を分けて書き写します
- 青色申告の承認を受けているかを、税務署からの通知か申告書の控えで確かめます
出典
- 所得税法26条(不動産所得)、36条・37条(収入金額・必要経費)、89条(税率)
- 租税特別措置法41条の4(不動産所得に係る損益通算の特例)、25条の2(青色申告特別控除)
- 国税庁タックスアンサーNo.1370(不動産収入を受け取ったとき)、No.1376(不動産所得の収入計上時期)、No.2260(所得税の税率)、No.1391(不動産所得が赤字のときの他の所得との通算)、No.2070(青色申告制度)、No.2072(青色申告特別控除)
- 総務省「個人住民税」(所得割の標準税率10%)
※確認日:2026年9月3日。税率表は平成27年分以後の区分です。税率・控除・特例は、税制改正で変わります。本記事は制度の基本を説明するもので、個別の税務相談ではありません。実際の申告や物件を買う判断にあたっては、最新の情報を確かめたうえで税理士にご相談ください。
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