入居の申し込みを受けると、仲介の担当者から「連帯保証人は立てられないので、保証会社でお願いします」と言われます。いまの賃貸では、これがふつうの形です。
家賃保証会社は、入居者が保証料を払い、家賃の滞納があれば大家へ立て替え払いをする会社です。買った人も、建てた人も、相続した人も、入居者を選ぶ場面でこの仕組みに向き合います。仕組み、保証の範囲、保証料、選び方を順に説明します。
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1. 保証会社は、滞納した家賃を大家へ立て替える
入居者、大家、保証会社の3者が登場します。連帯保証人だけの形と比べると、お金の流れがこう変わります。
連帯保証人だけの形と、保証会社が付く形

連帯保証人だけ滞納したら、大家が親族に請求します
請求する相手に支払う力があるかは分かりません。督促のやり取りも、大家か管理会社が自分で続けます

保証会社が付く滞納しても、会社が家賃を立て替えます
入居者が保証会社と保証委託契約を結び、保証料を払います。大家は連帯保証人の代わりに、この会社の保証を受けます
立て替えたあと、保証会社は立て替えた分を入居者に請求します(求償)。大家から見ると、滞納が起きても家賃が途切れにくくなり、督促のやり取りも保証会社が引き受けます。ただし、どこまで保証されるかは契約で決まります(3章)。
2. 個人の連帯保証人は、極度額を書かないと無効になる
ひと昔前は、たいてい親に連帯保証人を頼みました。保証会社に置き換わった理由があります。
責任の上限を、書面で決める必要が出た

極度額の定めがない個人の保証契約は、無効になります
やり方2020年4月に施行された改正民法で、個人が賃貸借の連帯保証人になる契約には、責任の上限額である極度額を書面で定めることが必須になりました(民法465条の2)。
注意「もしものときは何百万円まで責任を負う」と金額を示して親族に頼むと、頼む側にも重い話になります。
保証人を頼める人が減った

親が高齢、頼める親族がいない、という入居者は増えています
問題個人の保証人を必ず立ててもらう前提にすると、部屋を貸せる相手が狭まります。
解決保証料を払えば信用を補える保証会社は、入居者と大家の双方にとって現実的な選び方になりました。
3. 何がどこまで保証されるかは、契約で決まる
毎月の家賃だけが保証されるとは限りません。プランによって、次のような費用まで対象に入ります。
| 保証の対象になり得るもの | 中身 |
|---|---|
| 毎月の賃料など | 家賃・共益費などの滞納分。「家賃何か月分まで」という上限が付くことが多い |
| 原状回復費用 | 退去のときの修繕費用。対象外のプランもある |
| 明渡しにかかる法的費用 | 建物明渡しの訴訟や強制執行の費用。対象になるかはプランによる |
| 残置物の処理費用 | 荷物が残されたままになったときの対応費用。対象になるかはプランによる |
どこまで含まれるか、上限がいくらかは、会社とプランで大きく違います。「家賃は保証されたが、原状回復は対象外だった」という行き違いが起きやすいところです。契約の前に保証の範囲と上限を読み、契約書は物件のファイルに残します。
4. 保証料は入居者が払う。初回は家賃の50〜100%が目安になる
保証料は、多くの契約で入居者が負担します。次の形がよくあります。
契約のときに保証料を払う

契約のときに、月額家賃の50〜100%程度を払います
やり方入居者が契約の初期費用として払います。この幅の中のどこに置くかは、会社とプランで決まります。
更新のときに保証料を払う

年1回、定額(1万円前後)または家賃の1〜3割程度を払います
やり方保証委託契約を続けるための費用です。賃貸借契約の更新料とは別に発生します。
毎月、保証料を家賃と一緒に払う

毎月、家賃の1〜2%程度を払います
やり方入居のときの負担を抑える形です。家賃と一緒に毎月引き落とされます。
【モデル事例】家賃6万円の部屋で、初回保証料が家賃の50〜100%なら、契約のときの入居者の負担は3万円から6万円です。翌年からは更新保証料がかかります。人物と金額は架空です。
空室を埋めるために、大家が保証料を負担するプランを使う例もあります。大家が負担した保証料は、不動産所得の必要経費になります。入居者が払う保証料は入居者と保証会社の間の取引なので、大家の収入にも経費にもなりません(「大家の所得税は、家賃から経費を引いた不動産所得にかかる」)。
5. 選ぶときは、国の登録と審査の型を見る
国土交通省には、2017年にできた「家賃債務保証業者登録制度」があります。財務やお金の管理体制など、一定の要件を満たした業者が登録する仕組みです。登録は任意で、登録がなくても営業はできます。業者選びの分かりやすい目安になります。保証会社が経営に行き詰まった例もあるため、実績や規模もあわせて見ます。審査のやり方は、大きく3つの型に分かれます。
信用情報を使って審査する

クレジットカードなどの信用情報を照会して審査します
やり方過去の支払いの記録まで見るため、審査は厳しめです。
滞納情報を共有して審査する

加盟する保証会社の間で、家賃の滞納情報を共有して審査します
やり方ほかの物件での滞納が記録に残っていれば、そこで分かります。
自社の基準で審査する

自社の基準とデータで審査します
やり方比較的通りやすい傾向です。収入と家賃のつり合い、勤務先、過去の滞納の有無を見ます。
まとめ
- 家賃保証会社は、入居者が保証料を払い、滞納があれば大家へ立て替え払いをします
- 2020年4月から、個人の連帯保証には極度額の書面の定めが必須になり、書かなければ無効になります
- 保証の範囲と上限は契約で決まり、原状回復や明渡しの費用が対象外のプランもあります
- 保証料は入居者の負担が基本で、初回は家賃の50〜100%程度が目安になります
- 会社選びは国土交通省の登録制度が目安になり、審査は信販系・協会系・独立系で厳しさが違います
まず、今日できること
- いま使っている保証会社の名前と、滞納したときの報告の期限を、保証委託契約の書類で確かめます
- 保証の対象に原状回復費用と明渡しの法的費用が入っているか、上限は何か月分かを読みます
- 2020年4月1日以後に結んだ個人の連帯保証がある契約を探し、極度額の記載を確かめます
出典
- 民法465条の2(個人根保証契約の保証人の責任等。極度額の定め)
- 民法446条2項(保証契約の書面要件)
- 国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」(家賃債務保証業者登録規程)
※確認日:2026年9月3日。保証料・保証の範囲・審査の基準は、保証会社とプランによって違います。本記事の数値は一般的な目安で、個別の税務・法務相談ではありません。実際の判断は、契約書と各社の約款を読んだうえで行い、迷うときは税理士にご確認ください。
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