「不動産を法人に売る場合ってどんな手続きが行われるの?」「普通の不動産売買とは違うの?」といった疑問を持たれている方に向けて個人所有の不動産を法人に譲渡する場合の具体的な手続きを解説します!
この記事は次のような人におすすめ!
・法人への不動産譲渡の具体的な手続きを知りたい人
・オーナー法人への不動産譲渡について不安がある人
売買の意思決定
不動産譲渡を行う場合には必ず事前に不動産譲渡のメリットデメリットを比較して、しっかりと検討しましょう。不動産は一度名義を変えてしまうと簡単には戻せません!
今回の記事では具体的な手続きを説明していくので、最小限に抑えますが、実はこの査定・検討こそが最も時間をかけるべき工程です!
書類の作成
まずは書類の作成です。不動産を売買する場合には書類を作成し、証拠書類として残します。銀行から融資を受けるときや不動産を登記するときにも必要な書類なので必ず作成しましょう!
具体的には売買契約書と株主総会議事録が必要になります。
売買契約書
社長=株主のオーナー法人に不動産を売却する場合には当事者が同じでトラブルは起きにくいので、そこまで細かい条項に気を遣う必要はありません。
※ただし株主が別途いる場合や関係者が複数いる場合にはトラブルが起きないように交渉し必要であれば特約などを設定しましょう。
インターネットから売買契約書のひな形をダウンロードしてきて、金額・支払方法・日付・両者の署名捺印が確認できれば大丈夫です。
個人の場合には本人の署名・法人の場合には押印のうえ、実印または契約印を押しましょう。
株主総会議事録(利益相反)
株主がオーナー法人に不動産売買をする場合には株主総会の承認を受ける必要があります。具体的には利益相反取引承認の件といった議題の株主総会議事録を作成します。
簡単に言うと「法人にちゃんとした値段で売ってます?それって株主も賛成してますか?」を確認する書類です。
オーナー法人だと社長=株主なので必要なのか?とも思いますが、会社法で決めれらていることなので必ず書類作成は必要になります。
なんだか難しそうな手続きに見えますが、株主総会の議事録書類を作るだけなので、インターネットからダウンロードできるひな形を変えるだけでそんなに難しいものではありませんよ!
融資の段取り
現金一括や分割払いができるのであれば必要ありませんが、多くの場合では不動産の譲渡は金額が大きくなるため、銀行からの融資を行います。
銀行の担当者に相談して、返済期間や金利・融資の可否などについて協議します。
一般的な不動産売買は売主と買主が銀行に集まって融資と決済を行いますが、同族間の場合には書類のみのやり取りになる場合もあります。銀行と司法書士に確認しましょう!
また、必要であれば金利や期間など融資の条件は銀行によって違ってきますので、複数の銀行に話をもっていって比較しましょう!!
登記手続き
銀行融資を受ける場合には抵当権の設定が必要になりますので、司法書士に依頼して、登記手続きをお願いしましょう。銀行からの融資・売買代金の支払い・登記手続きが同時に行われることになります。
銀行融資を受けない場合には自分で登記手続きを行うこともできます。少し手間はかかりますが、複数の物件を売却する予定だったり、知識欲がある人はやってみるのもよい経験になると思います。
【賃貸物件の場合】入居者連絡や敷金・家賃の動きを整理する
入居者・管理会社への連絡
賃貸物件の場合物件オーナーの名義が個人から法人へ変わっていますから入居者へ連絡を行いましょう!
入居者への連絡は義務ではありませんが、更新時にいきなり名義が変わっていると驚く場合もあります。ご挨拶程度は行っておくとよいでしょう!具体的には「オーナー変更のご挨拶」といった内容の手紙を各入居者へ一斉に送付しましょう。もし管理会社が行ってくれるのであれば頼むのもいいでしょう。
なお、すぐに入居者全員分の契約書を作り直したりする必要はありません。ただし新しい契約書や請求書は新オーナーの名義で行う必要がありますので、必要であれば管理会社等には必ず事前に連絡を入れましょう!
入居者から預かった敷金の移管
敷金は売主個人の預り金でしたが、オーナーが変われば、今度は物件買主の法人が入居者に返金しなくてはなりません。敷金は売買代金とは別に売主個人から買主法人の口座へ移しましょう。
入出金口座の変更と税理士連絡
家賃の入金口座や水道光熱費の支払いなど、各入出金口座を買主法人のものに変える必要があります。
事前に管理会社または入居者と電力会社等に連絡を入れて、入出金口座の変更をスムーズにしておけば、後の経理処理などが簡単になります!
また、物件を売却した日から賃貸売上は買主法人の利益になります。税務・経理処理も変わりますので、税理士への連絡は事前に行っておきましょう。
この記事のまとめ
いかがだったでしょうか!
不動産を法人に売却すると決めた後の具体的手続きを記載しましたが、1つ1つの処理は意外と難しいものではありません。
具体的には書類の作成⇒融資手続き⇒不動産登記⇒賃貸物件の場合には事後処理といった流れになります。
事前に流れを理解して、後々やるの忘れてたといったことにならないようにしましょう!
また、今回記載したこと以上に最も重要なことは不動産を法人に売ることによるメリットやデメリットをしっかりと準備・査定して、後からやめとけばよかったとならないことです。一度不動産を売却すると簡単に戻すことはできませんのでしっかりと準備・検討を行いましょう!!